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激暑、酷暑は心臓にも厳しい
熱中症が招く心筋梗塞・脳梗塞リスク

高橋 通
高橋 通

東京国際クリニック 院長
医学博士・循環器内科

この記事の監修者

高橋 通
東京国際クリニック 院長/循環器内科
日本循環器学会循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本人間ドック学会認定医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医。1994年筑波大学医学専門学群卒業。2008年、東京大学大学院医学系研究科医学博士課程修了。1994年から長年にわたり、国立国際医療研究センターや東京大学医学部附属病院の救急医療現場での循環器専門医としての臨床経験を経て、2015年より東京国際クリニック院長。

夏季は5万人以上が救急搬送

激暑、酷暑は心臓にも厳しい	熱中症が招く心筋梗塞・脳梗塞リスク

これからの季節、やはり気をつけなければならないのは「熱中症」です。総務省消防庁の調査で、2017年5月~9月の熱中症による救急搬送者数は、52,984人に上り、高齢者が最も多く、次いで成人、少年、乳幼児の順となっています。中には死亡に至ることもあり、代表的な夏季の病態となっています。

脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす

例年、熱中症は報道などでも取り上げられますが、予防が大切なのは、熱中症が心筋梗塞や脳梗塞などを招くことがあるからです。血液中の水分が不足すると、いわゆる「ドロドロ血」となります。心房細動がある方は、左心耳という部位に血液が澱んで、やがて血栓が発生します。この血栓が脳へ運ばれると脳梗塞を引き起こします。

日頃、心電図検査で心房細動と診断されている方や、高血圧、肥満、糖尿病などのいわゆる生活習慣病の診断を受けている方は、十分な注意が必要になります。私たちの心臓は、1日約10万回の心拍数を数えると言われますが、常に規則正しく、同じように鼓動を繰り返しているわけではありません。気温が上がり脱水になれば、血管内の水分のボリュームが減るために心拍数は増加します。

ですから、炎天下での運動やゴルフなどはできるだけ避けるか、脱水対策をしっかりとるようにしてください。早朝のジョギングなどは、たとえ涼しい時間帯でも、起床直後は自律神経も乱れ、血液中の水分も不足がちですから、心臓に大きな負担となります。安全にスポーツを楽しむため、起床時間や走る距離などをきちんと調整しましょう。

危険な不整脈は心電図検査で判明

不整脈の検査には心電図検査が有用です。当クリニックのスーパープレミアムドックや心臓ドックでは、通常の心電図検査に加え、MCG(心筋虚血診断)検査を実施しています。この検査の特長は、毛細血管レベルでの狭心症や心筋症に対する最新の解析システムで、放射線や造影剤を使わずに解析することが可能な点です。

さらに、心臓の冠動脈CTやMRI検査をお受けになれば、突然死の原因の一つと言われる心筋梗塞のリスクとなる病変を早期に発見することが可能です。前述に加えて、脳梗塞の診断には、脳のMRI/MRA検査を行い、脳の血管のみならず脳の萎縮など他の脳疾患についても早期発見をすることができます。

不整脈については、「ホルター心電図」という24時間心電図モニタリング検査を行います。これは身体に小さなモニターを24時間装着し、1日の生活と心拍数、心臓の状態との関連を観察するもので、症状があったときに心電図がどのように変化していたかがわかります。

また、心房細動などの不整脈の治療も近年大きく進歩してきています。大腿部からカテーテルを心臓内に入れる「カテーテルアブレーション」治療は、不整脈を起こす興奮信号発生のポイントの周囲を高周波で焼くという方法で、最近では、冷凍アブレーションカテーテル、高周波ホットバルーンを用いたカテーテルなども行われるようになってきました。

水分補給にも注意が必要な方

一般的に夏季の水分補給は大切ですが、中には水分の摂り過ぎに注意が必要な方がいます。それは、心臓の左心室という部位が大きくなり、ポンプの力が低下している「拡張型心筋症」の方です。レントゲン検査で「あなたは心臓が大きくなっていますね」と言われた方は専門医にご相談ください。

ここ数年来の激暑、酷暑は本当に身体にも大きな負担となっています。夏はアクティブに過ごしたいものですが、気温や室温など環境に気をつけて十分に水分補給をして、一生働き続けてくれる心臓に配慮がほしい季節といえます。


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