大腸がん検診とは?
大腸がんやその前段階であるポリープの有無を調べるための検査のことです。各地方自治体の実施する大腸がん検診には、男女ともに40歳以上の健康な人を対象に毎年、2日間にわたって便を採取し血液が混じっていないかを調べる『便潜血検査』があります。これは簡便で体への負担がない検査です。 特に40歳以上の方は大腸がんのリスクが高まるため、年に一度の頻度で行うことがおすすめです。

◇ 大腸検査にはどんな検査があるのか
主な検査としては便潜血検査や大腸内視鏡検査(コロノスコピー)、大腸CT検査などがあります。施設によって検査内容が変わりますので事前に受けたい検査を調べておくことも大切です。
大腸がん検査を受けた方がよい方とは?
下記に当てはまる方は、大腸がんのリスクが高くなるため、大腸がん検診、もしくは大腸内視鏡などが入っている人間ドックをお受けになることをおすすめします。
- 40歳以上の方
- 喫煙者や適度に飲酒をする方
- 肥満の方
- 赤身肉や加工食品を好んで食べる方
- 野菜や果物が少なく、脂肪分の多い食生活の方
- 痔になりやすい方
- 大腸がんの血縁者がいる方
- 日常的にストレスの多い方
- 便秘気味の方
- 大腸ポリープができやすい方
大腸内視鏡検査の施設選びとは?
大腸内視鏡検査は、前提として多少の痛みを伴う検査です。ですが、経験豊富な医師が担当すれば、痛みも少なく、精度の高い検査を受けることができます。日本消化器学会や日本消化器内視鏡学会の専門医や内視鏡検査の実績が豊富な医師が在籍している医療機関を選ぶことが大切です。また、鎮静剤(静脈注射を使用した麻酔)の使用できる医療機関を選択することで、痛みに対する不安を大きく軽減することができます。鎮静剤を使用して、深くリラックスした状態で検査することは、短時間で安全な検査を行うことにつながります。
便潜血検査・大腸内視鏡・大腸CT検査について
◇ 便潜血検査とは
便潜血検査は、大腸内の微小な出血を検出するための検査です。潰瘍やポリープなどが消化管の中にできると、便が腸内を移動するときに組織がこすれて出血を起こすことがあります。多くの出血は微量で、目で確認することが難しいため、目視できない出血も便潜血検査で見つけることができます。
– 自宅で便潜血検査キットを使用し、便の検体を2日分採取します。
– 検体を指定された方法で提出し、潜血の有無を調べます。
その際、便の取り方を間違えないように気を付けてください。便にキットの棒を刺すようにとるのは正しい方法ではありません。これでは本当は陽性の場合でも、陰性に出てしまうことがあります。血液は便の表面に付いていますので、表面を広範囲にこするようにして採取しましょう。そして、たとえ1日でも陽性が出た場合は、そのままにせず、必ず2次検診として以下のような精密検査をおすすめします。
1.大腸内視鏡検査
腸内部を直接観察し、ポリープやがんの有無を確認します。病変が見つかれば同時に生検も行います。
2.大腸CT検査
コンピュータ断層撮影を利用して大腸の3次元画像を作成し、ポリープや腫瘍を検出します。
陽性の検便結果が出ても必ずしも大腸がんであるとは限りません。大腸がん以外の炎症や良性の腫瘍などで出血が認められる場合もあります。また、痔などの肛門疾患から出血する可能性もあります。検診の目的は早期発見とその治療です。自己判断で放置することをせず、どこからの出血かを精密検査で調べることが大切です。
◇ 大腸内視鏡検査とは
柔らかいチューブ状の内視鏡を使用して結腸や直腸の内部を観察し、異常を早期に発見する診断方法です。検査用のお食事や下剤を内服して腸を洗浄します。施設によっては検査直前に鎮痙剤や鎮静剤を使用して眠りながら検査を行います。大腸内視鏡は他の検査法に比べて高い診断精度を有し、がんやポリープを早期に発見することができます。
‐ 腸内をカメラで直接観察する検査ですので、腸の中をきれいにする必要があります。
‐ 事前に現在服用中のお薬についてなど、問診を行います。
‐ 検査前日は、大腸内に残りにくい消化に良いお食事を召し上がっていただきます。
‐ 検査当日は、検査の3~4時間前より2ℓの下剤を2時間かけて服用していただきます。下剤内服から約1時間で排便が頻回になります。腸内がきれいになり、落ち着いたら検査を開始します。
‐ 鎮静剤を使用する場合は静脈注射を行い医師が内視鏡を挿入し、大腸内部を観察します。異常が見つかれば、生検やポリープの切除が行われることがあります。
‐ 検査終了後、鎮静剤を使用した場合は、リカバリールームでお休みしてお帰りいただきます。
◇ 大腸CT検査とは
大腸CT検査は、コンピュータ断層撮影を用いて、患者の体内を複数の断面像で撮影する検査です。検査の際にバリウムを含む薬剤を事前に服用することで、大腸の形態がより明瞭に映し出され、異常や腫瘍を確認します。大腸CT検査は、全身の詳細な像を提供するため、大腸がんのスクリーニングや評価に有用です。 短時間で検査をすることが可能で、腹部の手術歴から腸が癒着していて内視鏡が入りにくい方や、痛みに不安がある方にも適した検査といえます。 また、ほかの腹部臓器の撮影も可能で、大腸以外の臓器も描出できます。

まとめ
大腸がんは、日本人の罹患率・死亡率上位の疾患です。大腸がんの早期発見には定期的な検査が肝要です。検査でがんを早期に発見し、早期に治療の介入ができれば、大腸がんで亡くなる人を減らすことができます。そして、早期の大腸がんは治癒率が高いため、定期的に検査をする意義は大いにあり、ご自身の健康のためにも年に一度の検査を受けましょう。