帯状疱疹とは
高齢になるに従ってさまざまな病気に罹りやすくなるものですが、中でも免疫力の低下が原因で発症する「帯状疱疹」はピリピリとした神経痛のような痛みが3週間ほど続く皮膚の病気で、QOL（生活の質）を大きく低下させる病気といえます。帯状疱疹は50歳を過ぎると多いと言われていますが、20歳代、30歳代でも起こり得る、年齢、性別に関係なく罹り得る病気です。
帯状疱疹になると痛みのため日常生活もままならないと言われており、重症化すると顔面では顔面神経の麻痺が出たり、眼の付近にできると失明の危険性もあります。また、下肢にできると歩行困難などの症状が出て予後（治療後の状態）が良くない病気と言えます。
さらに帯状疱疹が厄介なのは、治療後も2割くらいの人に「帯状疱疹後神経痛」という特有の後遺症が出て、長い人では数年間も激しい痛みに悩まされることがあります。
帯状疱疹の原因は、水痘（みずぼうそう）ウイルスと同じウイルスです。小さいころに「みずぼうそう」に罹り、治療をして完治したとしてもこのウイルスは体内に居残ります。無症状の潜伏期間を経て50歳を過ぎて免疫力が低下した時にウイルスが復活して発症すると「帯状疱疹」と呼ばれます。
帯状疱疹の原因は水ぼうそうと同じウイルス
帯状疱疹の原因は、多くの人が子どもの頃に感染する水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは背骨に近い神経に症状を出さない状態で潜んでおり、加齢や疲労、ストレスなどによって免疫力が低下するとウイルスが再び目覚め、帯状疱疹として発症します。
帯状疱疹を発症する要因
「みずぼうそう」になったことのある方は、治った後も水痘・帯状疱疹ウイルスが体内に症状を表さない状態で潜み、ウイルスが再び目を覚ますことで「帯状疱疹」として発症します。日本人では15歳以上の成人の9割以上の方が水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗体を持っています。抗体があるということは、そのウイルスが体内に入ったと考えられます。つまり、多くの成人が帯状疱疹を発症する可能性があるということになります。
帯状疱疹の発症には体内の免疫力が大いに関係しています。その要因として加齢、過労、過度のストレスが挙げられ、悪性腫瘍や重症感染症でも発症します。通常の健康体では体内で水痘帯状疱疹ウイルスが再発しようとしても強力な抗体（免疫力）によって抑えられているのですが、何らかの要因で免疫力が低下すると、ウイルスが活性化して発症してしまうのです。最初は皮膚に違和感を覚え、やがてチリチリとした焼けるような痛みや、チクチクとした刺すような痛みが出てきて、発赤（皮疹）が現れます。同時に発熱やリンパ節が腫れることもあります。その後、水ぶくれとなり、ただれたような「びらん状態※1」になって、やがてかさぶたになります。その間、痛みも続きます。
※1 表皮が失われ、真皮が露出している状態
帯状疱疹の治療と後遺症
～とにかく「なるべく早く飲み薬（抗ウイルス薬）を飲み始めること」が後遺症を少なくするコツです。～
帯状疱疹のごく初期は皮膚に症状がない場合もあります。背中などにできると自分では見えないためさらに発見が遅れて受診が遅れてしまいがちです。
受診すると抗ウイルス薬が処方されます。早期に抗ウイルス薬を飲み始めるほど痛みが軽く済み、後遺症も出にくくなります。
後遺症である帯状疱疹後神経痛は、皮疹※2が消失した後も、鈍く熱感のある突き刺すような痛みが続き、これが原因でうつ病や不眠に悩まされる方もいます。また、何年もこうした症状が続くケースもあります。
※2 皮膚にあらわれる何らかの病変を指します。例として、皮膚が赤くなる（紅斑）、水ぶくれができる（水疱）、などの症状があげられます。現実には早期に受診できない場合が多く、治療の開始が遅れてしまうなど、何年もこうした症状が続くケースもあります。そのため予防が重要なのです。
ワクチン接種で予防できる帯状疱疹
このように、一旦罹ると仕事も手につかなくなるような帯状疱疹特有の痛みですが、50歳を契機にワクチンの予防接種をするだけで、罹りにくくなることが可能です。ワクチンを打つと、水痘ウイルスに対する抗体をパワーアップすることができ、免疫力を高めることができるので、帯状疱疹に罹りにくくなると同時につらい後遺症にもならずにすみます。
さらに、5-アミノレブリン酸（5-ALA）※3などのサプリメントを日常的に飲むことで免疫力をより高めることが期待できます。「いま飲むサプリは10年後のあなたの健康を守る」と言われるように、少し長い目で見た健康づくりもご高齢になる前の準備としてお考えいただけるといいと思います。
※3 5-アミノレブリン酸（5-ALA）とは？
5-アミノレブリン酸（5-ALA）とは、体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸。ヘムやシトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与する機能分子の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。体内で合成される5-ALAの量は年齢と共に減少していきます。ストレス、生活習慣の乱れなども5-ALAが減少する一因と考えられています。
Medical Specialist Advice
帯状疱疹ワクチンをお申込みください
帯状疱疹ワクチンの有効な期間は１０年と言われていますが、50歳を過ぎてから投与されれば、一生に一回の投与で済む可能性もあります。
帯状疱疹はまだまだ認知度の低い疾患です。罹り始めの初期では症状もわかりにくく見た目に発赤などが現れてからでは処置が遅れがちです。50歳を過ぎたらぜひワクチン接種をお勧めいたします。ワクチンの接種で、その後の帯状疱疹については安心してお過ごしいただくことができます。
