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血糖値スパイクとは?寝るとどうなる?眠気の原因と対策法を徹底解説!

SBIメディック 編集部
吉岡 悠里可 監修

血糖値スパイクとは?寝るとどうなる?眠気の原因と対策法を徹底解説!

血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急上昇し、その後、急降下する現象のことで、強い眠気や倦怠感、集中力低下などを招きます。また、長期的には動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病リスクを高めるおそれがあります。本記事では、「血糖値スパイクのメカニズム」「血糖値スパイクが体に及ぼす影響」「食後の眠気との関係(寝るとどうなるか?)」などについて詳しく解説するとともに、できるだけ血糖値を安定させるための対策として、食事や運動のポイントをお伝えします。

この記事の監修者

吉岡 悠里可
管理栄養士・日本抗加齢指導士・NRサプリメントアドバイザー
所属/日本抗加齢医学会・日本病態栄養学会・日本臨床栄養学会

血糖値スパイクとは?体への影響

血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急上昇し、その後、急降下する現象のことです。血糖値スパイクは体に次のような影響を及ぼします。

  • 強い眠気や倦怠感
  • 集中力低下や気分の不安定化
  • 動脈硬化や糖尿病のリスク上昇
  • 脳機能低下や認知症のリスク上昇

血糖値スパイクが起こるメカニズム

血糖値スパイクは、主に糖質を多く含む食事を摂ることで引き起こされます。ご飯やパン、麺類などの炭水化物は消化の過程でブドウ糖に分解され、小腸から急速に吸収されます。その結果、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が急激に上昇します。身体はこれを正常範囲に戻そうと、膵臓からインスリンを大量に分泌し、血糖を細胞へ取り込みます。ですがこのとき、インスリンの分泌量が多すぎると血糖値が急激に降下します。

血糖値スパイクは、特にGI(Glycemic Index:食品が血糖値をどれだけ上昇させるかを示す指標)が高い食品の摂取や空腹状態が続いた後の食事、食べるスピードが速いことなどで発生しやすくなります。

急激な血糖値上昇が体に及ぼす悪影響

血糖値スパイクの短期的な影響としては、強い眠気やだるさ、集中力の低下を招きます。これは、血糖値が急降下する際に脳や筋肉へのエネルギー供給が不安定になるためです。頭痛やめまい、動悸などを伴うこともあります。

長期的な影響としては、血糖値スパイクによって血管の内壁が繰り返し傷付くことで動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。また、膵臓に負担がかかることでインスリンの分泌機能が低下し、糖尿病やその合併症を引き起こすおそれがあります。

食後の眠気はなぜ起きる?血糖値の急変動との関係

食後に強い眠気やだるさを感じる要因の一つとして、血糖値スパイクが挙げられます。こちらでは、次の2点についてご説明します。

  • なぜ食後に強い眠気に襲われるのか
  • 血糖値の急上昇・急降下と眠気のメカニズム

なぜ食後に強い眠気に襲われるのか

食後に強い眠気を感じるのは、体内で同時に起こる複数の生理的変化が関係しています。まず、食事をすると消化器官が活発に働き始めます。このとき、消化を助けるために血流が胃腸へと優先的に送られ、相対的に脳への血流が減少します。これにより、一時的に覚醒度が下がり、眠気を感じやすくなると考えられています。

さらに、糖質を多く含む食事を摂ると血糖値が急激に上昇します。上述のとおり、身体はこれを正常範囲に戻すためにインスリンを分泌し、血糖を細胞へ取り込みますが、分泌量が多すぎると血糖値が急激に降下します。この急上昇と急降下の繰り返しが血糖値スパイクであり、食後に強い眠気を招く原因となります。

血糖値の急上昇・急降下と眠気のメカニズム

血糖値スパイクと眠気の関係をもう少し詳しくご説明します。

  • 食後、特に高GI食品を摂取した後は、血糖値が急激に上昇する。
  • 身体はこの高血糖を正常範囲に戻すため、膵臓から大量のインスリンを分泌する。
  • インスリンは血中のブドウ糖を筋肉や肝臓、脂肪細胞へ取り込み、エネルギーとして利用・蓄積する。
  • このとき、大量のインスリンが分泌されると血糖値が急激に降下し、通常より低い値になることがある(反応性低血糖)。
  • 反応性低血糖の状態は、脳へのエネルギー供給が不足するため、強い眠気や倦怠感、集中力の低下を引き起こす。

眠気の有無や程度には個人差はありますが、これが、血糖値スパイクが眠気を招く基本的なメカニズムです。

寝る前の血糖値スパイクが睡眠に与える影響

血糖値スパイクによって眠気に襲われたとき、そのまま「寝るとどうなる」かが気になる方は多いでしょう。こちらでは、次の2点についてご説明します。

  • 寝る直前に食事をすることで起こる体内変化
  • 夜間の血糖値乱高下が睡眠の質を低下させる理由

寝る直前に食事をすることで起こる体内変化

食後の眠気に任せて、そのまま寝るとどうなるのでしょうか。まず、食事をすると消化器官が活発に働き始めますが、横になると胃腸への血流や消化機能が低下し、消化不良を起こしやすくなります。消化不良による胃もたれや胸やけが、寝つきの悪化や中途覚醒の原因になることもあります。

また、就寝中は代謝が低下するため、食後に吸収された糖質が血液中に滞留しやすく、血糖値が高い状態が長く続く可能性があります。この状態では膵臓から大量のインスリンが分泌され、その後の血糖値の急降下によって睡眠の質が低下しやすくなります。

夜間の血糖値乱高下が睡眠の質を低下させる理由

忙しい経営者の方などは、夕食を摂るのが夜遅い時間になってしまうケースも多いでしょう。夜間に食事を摂り、そのまま寝るとどうなるのでしょうか。

夜間に血糖値が急上昇・急降下すると、自律神経やホルモン分泌が乱れ、睡眠の質が低下します。特に血糖値が急降下すると、体が血糖を上げようとアドレナリンやコルチゾールを分泌し、交感神経が活性化します。こうなると深いノンレム睡眠が妨げられ、中途覚醒の原因になることがあります。

血糖値の急上昇を防ぐ理想的な食事法

血糖値スパイクを防ぐために意識したいのが食事(食事のタイミングや選ぶべき食品、食べ方など)です。こちらでは、次の3点についてご説明します。

  • 就寝前の理想的な食事タイミングとは
  • 夜に避けるべき食品と選ぶべき食品
  • 血糖値の上昇を抑える食べ方のコツ

就寝前の理想的な食事タイミングとは

就寝前の食事は、血糖値や消化機能、睡眠の質に大きな影響を与えます。消化には通常2〜3時間を要し、この間に血糖値は上昇と下降を繰り返します。就寝直前に食事をすると、睡眠中に血糖値スパイクが発生し、自律神経やホルモンの分泌が乱れる原因になります。特に、成長ホルモンは深いノンレム睡眠中に分泌されますが、血糖値の変動が大きいと分泌が阻害され、代謝や修復機能が低下してしまいます。そのため、食事は「就寝の3時間前まで」に終えることが望ましいとされています。時間でいうと、22時~2時の飲食は控えるべきです。この時間帯は、内臓脂肪が増加する「ゴールデンタイム」と言われており、血糖値の上昇につながります。

どうしても夕食の時間が遅くなってしまう場合は、高GI食品を避け、低GI食品中心の軽食にすることで、血糖値の急変動や消化不良を防ぎ、睡眠の質を保つことにつながります(詳しくは後述します)。

夜に避けるべき食品と選ぶべき食品

就寝前に食事をするときは、血糖値スパイクを防ぐため、高GI食品や消化に時間がかかる食品を控えることが重要です。避けるべき食品としては、白米やパン、パスタ、菓子類などが挙げられます。これらは血糖値の急上昇・急降下を引き起こし、睡眠の質を低下させる原因となります。また、脂質の多い揚げ物やこってりした料理も消化器官に負担がかかり、消化不良や胸やけの原因になります。

選ぶべき食品は、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品です。具体的には、次のような食品が挙げられます。

  • 野菜(ブロッコリー、キャベツ、トマト、ほうれん草など)
  • 海藻・きのこ類(ひじき、もずく、椎茸、えのきなど)
  • 豆類・大豆製品(納豆、豆腐、おから、枝豆など)
  • 肉、魚(鶏むね肉、牛赤身、まぐろなど)
  • 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)
  • 精製されていない麺やパン(玄米、そば、全粒粉パンなど)
  • 果物(りんご、グレープフルーツ、いちごなど)

おすすめの献立例

朝食 昼食 夕食
主食:玄米パン
主菜;目玉焼き
副菜;ビーンズサラダ
副菜:ヨーグルト+グレープフルーツ
・豚しゃぶおろしそば(サラダ仕立て)主食:玄米ご飯
主菜:サバの塩焼き
副菜:ほうれん草のお浸し
汁物:わかめと豆腐の味噌汁

ポイントは、低GIの野菜や海藻・きのこ類をメニューに取り入れることです。ただし、低GIの食品でも多く摂取しないように適量を意識しましょう。また、定食スタイルで複数の食品を摂取するのもおすすめです。そうすることで箸上げが多くなり、時間をかけて食べるようになります。よく噛んでゆっくり食べることで、血糖スパイクを緩やかにすることができます。

血糖値の上昇を抑える食べ方のコツ

血糖値スパイクを防ぐためには、食事の内容だけでなく「食べる順番」や「食べ方」も重要です。血糖値スパイク対策の基本は「ベジファースト」です。これは、野菜や海藻、きのこ類など食物繊維を多く含む食品から先に食べ始めることを言います。その後に、肉や魚、卵や大豆製品などのたんぱく質を摂り、最後にご飯やパン、麺などの炭水化物を食べることで、糖の吸収速度を緩やかにできるため、血糖値スパイクを抑制できます。外食をするときでも、サラダや汁物から食べ始める習慣を付けましょう。

また、早食いや大食いは血糖値スパイクを招くため、よく噛んでゆっくり食べることも大切です。ひと口につき20〜30回咀嚼することを意識しましょう。

食後の軽い運動で血糖値の急上昇を防ぐ方法

血糖値スパイクを防ぐためには、食後に軽い運動をすることも効果的です。こちらでは、次の2点についてご説明します。

  • 就寝前に効果的な軽運動の種類
  • 何分の運動が血糖値コントロールに最適か

就寝前に効果的な軽運動の種類

血糖値スパイクを抑えるため、就寝前に運動をするとしたら、心拍数を大きく上げない軽い運動が理想的です。たとえば、ストレッチやヨガは筋肉の緊張をほぐし、副交感神経を優位にして、入眠を促す効果が期待できます。夜間のウォーキングや筋肉を使う運動は交感神経を活発にし、睡眠に影響を与えることがあるため、無理のない強度で行うことが大切です。

何分の運動が血糖値コントロールに最適か

血糖値スパイクを防ぐためには、食後30分以内に開始する10〜20分程度の運動が効果的だとされています。これは食後、最も血糖値が上昇しやすい時間帯に筋肉を動かすことで、ブドウ糖がエネルギーとして利用されやすくなるからです。たとえば、15分間のゆったりしたウォーキングや軽いスクワット、室内での足踏み運動でも十分な効果が期待できます。長時間の運動は体への負担が大きく、低血糖のリスクを高める可能性もあるため、控えましょう。

まとめ

血糖値スパイクは、短期的に眠気や倦怠感を招くだけでなく、長期的には動脈硬化や糖尿病などのリスクを高めます。血糖値スパイクを防ぐためには、本記事でお伝えしたとおり、就寝前の食事や高GI食品を控え、食べる順番や咀嚼回数などを意識することがポイントになります。また、食後に軽く体を動かすことで、食後血糖が緩やかになります。食事や運動など日常生活を改善するとともに、定期的に人間ドックを受診して血糖値をチェックすることも重要です。

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