関節痛の治し方は?原因となる病気と症状も解説

東京国際クリニック医師監修
東京国際クリニック 医師監修
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東京国際クリニック 医師監修

年を重ねるにつれ、膝や股関節、指などの「関節痛」に悩む人が増えてきます。はじめは痛みが軽いことが多いため、だましだまし過ごしている人も少なくありませんが、症状が進行すると日常生活に支障をきたすようになります。また、痛みを避けていると別の関節に負担がかかり、新たな痛みが生じることもあります。本記事では、関節痛の原因となる病気やその症状、治し方、予防について解説するとともに、注目の治療法「PRP療法」をご紹介します。

この記事の監修者

齋田 良知
東京国際クリニック/膝、スポーツ整形外科
日本整形外科学会専門医 指導医、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS) 評議員、臨床スポーツ医学編集委員、日本スポーツ外傷障害予防協会代表理事。
スポーツドクターとして、イタリア・セリエA「ACミラン」でのフェローシップや、なでしこジャパン帯同ドクターとしての実績を持つ。
現在は、いわきFCチームドクターおよびいわきサッカー協会理事、医事委員長としても
活躍。
2001年順天堂大学医学部医学科卒業後、2019年に順天堂大学整形外科 准教授、2020年順天堂大学スポーツ医学・再生医療講座 特任教授に就任。
2021年より東京国際クリニックに膝、スポーツ整形外科非常勤

関節痛は、どのような人にどのようなときに起きる?

関節痛の原因として多いものが「変形性関節症」です。これは、関節の軟骨がすり減ることで関節痛が生じる病気です。また、関節リウマチになると、関節痛や関節の腫れが生じます。手の指や足の指の関節に痛みや腫れが生じることが多く、起床時は特に症状が強く出る傾向があります。

男性の場合、痛風による関節痛も少なくありません。中年になると男性ホルモンの影響で尿酸値が上昇しやすくなり、痛風になる人が増加します。痛風の症状の一つが、激しい関節痛です。足の親指の付け根に突然激しい痛みが生じることが多く、痛みのあまり、夜中に目が覚めることもあります。

若年層に多い関節痛の原因が「スポーツ障害」です。膝の半月板損傷、靭帯損傷、肩の腱板損傷など、スポーツ中のケガによって膝や肘、肩などに関節痛が生じます。また、若年層にまれに生じるのが「若年性特発性関節炎(JIA)」です。小児の人口10万人あたり10~15人にJIAが発症すると言われています。JIAにはいくつかのタイプがありますが、どのタイプにも共通する症状が慢性的な関節の炎症です。関節の炎症によって、痛くなる、赤くなる、腫れる、熱を持つ、動かしにくくなるなどの症状が現れます。

関節痛の原因になる病気と治し方

関節痛の原因になる主な病気と、症状の改善方法、治し方についてご説明します。

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることで関節が変形し、関節痛が生じる慢性的な疾患です。特に中高年に多く発症し、男性よりも女性に多く見られます。

主な原因は、軟骨の摩耗です。膝関節の軟骨は年齢とともに弾力性を失い、使いすぎによってすり減り、関節が変形することで変形性膝関節症を発症します。また、肥満や遺伝子も関係していると言われます。

症状

変形性膝関節症は、進行度によって症状が変化します。軽度の場合は、「立ち上がるときに痛む」「動き始めに痛む」「膝関節がこわばる」などの症状が現れます。中等度の場合は、「正座しにくい」「階段を上り下りするときに膝が痛む」「膝に水が溜まる」などの症状が現れます。重度になると、「じっとしていても痛む」「膝の曲げ伸ばしが難しい」「歩くときに膝が横揺れする」「歩行困難」など、症状が深刻化していきます。

関節痛の治し方

関節痛の症状が軽度の場合、まずは痛み止めの内服薬や外用薬を使用し、膝関節内にヒアルロン酸を注射することがあります。また、大腿四頭筋を強化するトレーニングや関節可動域を改善する運動療法(運動器リハビリテーション)をおこなうことで、症状の改善が期待されます。さらに、膝を温めて血行を促進する物理療法も有効です。これらの治療法で改善が見られない場合、手術治療を検討します。

日常生活では、大腿四頭筋を鍛えることや体重管理が重要です。また、正座を避ける、膝を温めるなどの対策も症状の軽減に役立ちます。

変形性股関節症

変形性股関節症は、股関節の軟骨が徐々に摩耗し、関節の骨同士が直接擦れ合うことによって引き起こされる病気です。

患者の多くは女性ですが、その場合、原因は子どもの頃の病気や発育障害の後遺症が主なもので、全体の80%と言われています。ただ、最近は明らかな原因となる病気にかかったことがなくても、加齢とともに変形性股関節症を発症する人が増えています。

症状

変形性股関節症の主な症状は、関節の痛み、動きの制限、さらには歩行に支障をきたすことです。初期段階では立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。進行すると関節痛がひどくなり、常に痛んだり、夜寝ているときに痛んだりするようになります。

日常生活では、足の爪切りをしにくくなる、靴下を履きにくくなる、和式トイレの使用や正座が困難になるなどの変化が現れます。また、長時間立ったり歩いたりするのがつらくなり、階段やバスの乗り降りなどに手すりが必要になります。

関節痛の治し方

変形性股関節症と診断されたら、股関節の負担を減らして大事に使うことが重要になります。過体重であれば減量が求められます。また、心理的抵抗がなければ杖の使用が推奨されます。痛みがあると歩かなくなり、筋肉が衰えてしまうので、可能であれば週2~3回、水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)をおこないます。これらの保存療法で関節痛が緩和しない場合は、手術療法も検討します。

関節リウマチ

関節リウマチは、関節内にある「滑膜(かつまく)」という組織が異常増殖することによって関節痛や慢性的な炎症が生じる疾患です。進行すると関節が破壊され、様々な機能障害が生じるほか、貧血や微熱、倦怠感などの全身症状を合併することもあります。どの年代でも起こりますが、特に30~40代の女性に多く発症します。原因はまだよく分かっていませんが、遺伝的要因や細菌・ウイルスの感染などが考えられています。関節リウマチが疑われる場合は、早めの受診・治療が必要です。

症状

関節リウマチの初期段階では、両手や両足の指の関節に腫れが見られ、特に朝方にこわばり感を感じることが一般的です。

関節リウマチは、関節だけの病気ではなく全身病です。そのため、貧血症状が出たり、体がだるくなったり、微熱が出たりすることもあります。全身の関節に進行していく病型の場合、指や手首の関節が破壊され、指が短くなったり、関節が脱臼して変形したりすることもあります。また、人によっては膝関節や股関節などの大きな関節にも病変が進み、水が溜まり、動きにくくなり、痛みのために日常生活に支障をきたすようになります。

関節痛の治し方

関節リウマチの治療は、薬物療法が基本です。抗リウマチ剤や非ステロイド性消炎剤を中心に、症例に合わせてステロイド剤や免疫抑制剤、生物学的製剤などが用いられます。また、補助療法として、ステロイド剤やヒアルロン酸製剤の関節内注射をおこなうこともあります。リハビリテーション・理学療法も有効です。

関節痛が起きるその他の病気

関節痛が生じる可能性のある、その他の病気についてご説明します。

痛風

痛風は、足や指などの関節が赤く腫れて、激しい関節痛が生じる疾患です。血液中の尿酸値が上昇すると、関節内に尿酸塩結晶が生じます。この結晶を白血球が処理する際に、痛風発作(急性関節炎)が起こります。風が吹くだけでも痛むことから、「痛風」と呼ばれています。

偽痛風

偽痛風(ぎつうふう)とは、痛風に似た関節痛を引き起こす病気ですが、実際の痛風とは異なります。痛風は尿酸が原因で関節に結晶がたまる病気ですが、偽痛風は「ピロリン酸カルシウム結晶(CPPD)」が関節に結晶を形成することで痛みが生じます。

腱鞘炎(ばね指)

ばね指とは、指の腱鞘炎のことです。曲げた指を伸ばすとき、一瞬引っかかってから勢いよく伸びる様子がバネに似ていることから、「ばね指」と呼ばれています。初期段階では、指を曲げるときに関節痛が生じたり、曲げた指を伸ばすときに引っかかったりする症状が現れます。

母指CM関節症

母指CM関節症は、物をつまむときや、瓶のフタを開けるときなど、親指(母指)に力を入れるときに親指の付け根付近に痛みが出る病気です。進行すると親指の付け根付近が膨らんできて、親指が開きにくくなります。

男性更年期障害

男性更年期障害とは、加齢にともない、男性ホルモンである「テストステロン」の分泌量が減少することで現れる症状・不調のことです。男性更年期障害は、疲労感や気分の落ち込み、ほてりや動悸、睡眠障害など様々な症状がありますが、テストステロンが減少することで骨密度の低下や筋肉量の減少が引き起こされ、これにより関節への負担が増し、関節痛が現れることがあります。また、テストステロンは炎症を抑える役割も持っているため、その減少が炎症反応を高め、関節に痛みやこわばりを引き起こすこともあります。

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全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデス(SLE)とは、免疫システムが自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一種で、20~30代の女性に発症しやすい病気です。関節炎はSLEの代表的な症状の一つであり、関節痛を引き起こすことがあります。

まとめ

関節痛の治療法は多岐にわたりますが、近年注目されているのが「PRP療法」です。PRP療法は、ご自身の血液から成分を抽出し、関節に注入することで、自己修復能力を活性化し、炎症を抑え、痛みを軽減します。

PRP療法をさらに進化させた「VFD療法」は、従来の治療法に比べて高い効果を発揮します。東京国際クリニックでは、関節の変形状態に応じて個別対応し、約6割の患者様が関節痛から解放されている実績があります。この治療法は、痛みを迅速に軽減できるため、特に忙しい日々を送る方々にとって非常に有益です。

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※参考:公益社団法人 日本整形外科学会
※参考:一般社団法人 日本リウマチ学会

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