
病気を早期発見するために欠かせない人間ドックですが、「何歳から受診するのか?」と悩む方も多いようです。お勧めの受診年齢はライフステージが変化しやすい30代以降です。毎年人間ドックを受診して、前年の結果と比較することで小さな変化を見逃しにくくなります。人間ドックで経年変化をチェックするとともに定期的に生活習慣を見直すことが、病気の予防につながります。本記事では、年代ごとの健康リスクや、人間ドックで受けられる主な検査項目についてわかりやすく解説します。
人間ドック受診の適齢期とその重要性

人間ドックを何歳から受診するという明確な決まりはありませんが、お勧めしたいのはライフステージが変化しやすい30代以上です。ただし、健康リスクは人それぞれ異なります。喫煙の習慣がある方、お酒をよく飲む方、肥満気味の方、運動不足が気になる方、また、ご家族に生活習慣病やがんの既往歴がある方は、20代のうちから人間ドックを受けておくと安心です。
健康診断を受診するか、人間ドックを受診するかで悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。健康診断は、主に健康状態の維持・確認を目的とし、基本的な検査を実施するものです。一方、人間ドックは病気の早期発見を目的としており、より精密かつ専門的な検査がおこなわれます。生活習慣病やがんなどの疾患を初期段階で確実に見つけるためには、人間ドックの受診が不可欠です。気付かぬうちに病気が進行してしまうのを防ぐためにも、30代になったら年に1回、人間ドックを受診することをお勧めします。
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平成22年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省
人間ドックを受ける年代は?

年齢を重ねるにつれて、生活習慣病やがんのリスクが高くなります。現在、厚生労働省が生活習慣病対策として推奨している特定健康診査(特定健診)は、40歳から74歳の方を対象に実施されています。
※参考:特定健康診査・特定保健指導 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
また現在、国が推奨している主ながん検診は以下のとおりです。
- 胃がん検診:50歳以上(2年に1回)
- 大腸がん検診:40歳以上(1年に1回)
- 肺がん検診:40歳以上(1年に1回)
- 乳がん検診:40歳以上(2年に1回)
※参考:がん検診について:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
これらの推奨年齢を踏まえると、人間ドックを受診する年齢は40歳以上が目安になります。しかし、個人によって健康リスクは異なり、20代、30代で生活習慣病やがんにかかる人もいます。年齢にかかわらず、定期的に人間ドックを受診することをお勧めします。
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労働安全衛生法に基づく定期健康診断
ここからは、「20代・30代の男性」「20代・30代の女性」「40代」「50代」に分けて、それぞれの健康リスクなどを解説します。
20・30代の男性
20代・30代の男性は、40代以降に比べると生活習慣病やがんのリスクは低いものの、この時期の生活習慣は将来の健康に大きな影響を与えます。20代・30代の男性は、特に仕事の忙しさから運動不足や栄養バランスの偏りが生じやすく、それが将来の肥満や生活習慣病の発症リスクを高める要因になります。厚生労働省の調査によると、30代の男性の約3割が肥満(BMI値25以上)であることが分かっています。肥満を放置していると、高血圧、糖尿病、動脈硬化を原因とする心疾患や脳血管疾患のリスクが高まります。そのため、人間ドックで血液検査を受けることをお勧めします。一般的な健康診断の血液検査は必要最低限の項目にとどまりますが、人間ドックの血液検査は詳細な項目までチェックするため、より早期のリスク評価が可能です。
また、男性は30代になると大腸がんの罹患率が徐々に上昇していきます。自覚症状がない段階で早期発見するためには、人間ドックの受診が欠かせません。一般的な健康診断では、「便潜血検査」が採用されていますが、必ずしも精度の高い検査とは言えません。一方、人間ドックでは、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)や大腸CT検査など、より精密な検査がおこなわれるため、早期発見が可能です。
胃がんも日本人男性に多いがんの一つであり、特にピロリ菌感染がリスク要因として知られています。20代・30代のうちにピロリ菌検査を受け、陽性の場合は早めに除菌治療を受けることが推奨されます。
20・30代の女性
仕事や家事・育児の忙しさから健康管理がおろそかになってしまう女性の方もいらっしゃいますが、将来のリスクを未然に防ぐためには定期的な人間ドックの受診が欠かせません。特に、女性特有の疾患のリスクを把握し、早めに対策を講じることが大切です。
20代のうちから受診したいのが、子宮頸がん検診です。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因とされており、厚生労働省は20歳以上の女性に対し、2年に1回の子宮頸がん検診(細胞診)を推奨しています。また、30代になると乳がんの罹患率が上昇するため、30代以降は定期的な乳がん検診を受けることが推奨されます。特に、家族に乳がんの既往歴がある方はリスクが高いため、より早い段階での検査が重要です。40歳以上の女性にはマンモグラフィ検査が推奨されていますが、20代・30代の女性は乳腺の密度が高いため、超音波(エコー)検査が有効とされています。人間ドックで医師と相談し、自身に適した検査方法を選びましょう。
40代
40代になると、加齢や基礎代謝の低下に加え、これまでの生活習慣の積み重ねや細胞の老化などが影響し、生活習慣病やがんのリスクが上昇するため、定期的な人間ドックの受診がより重要になります。性別ごとに、推奨される検査をご説明します。
● 40代男性
40代男性は、肥満や生活習慣病のリスクが増加するほか、大腸がんや肺がんの罹患率が上昇します。そのため、以下のような項目が含まれた人間ドックの受診が推奨されます。
- 生活習慣病の検査(高血圧、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化、心疾患、
脳血管疾患 など) - がん検査(大腸がん、肺がん、胃がん、前立腺がん、肝臓がんなど)
● 40代女性
40代女性はホルモンバランスの変化によって、骨密度の低下や内臓脂肪の増加が進みやすくなります。また、乳がんや子宮体がん、卵巣がんのリスクが上昇します。そのため、次のような婦人科系のがん検査が充実した人間ドックの受診が推奨されます。
- 婦人科がん検査(乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん)
- がん検査(胃がん、肺がん、大腸がん など)
- 生活習慣病の検査(高血圧、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化、心疾患、
脳血管疾患 など) - 骨密度検査
これらの検査の多くは健康診断でも実施されていますが、人間ドックのほうがより高精度かつ詳細な検査を受けることができます。たとえば、がん検査であれば、MRIやCT、内視鏡や超音波など、一般的な健康診断では受けられない専門的な検査が導入されています。生活習慣病やがんの予防、早期発見のためには人間ドックの受診が不可欠です。
50代
50代になると、生活習慣病やがんのリスクがさらに上昇し、体調の変化がより顕著になります。この年代では、積極的に人間ドックを受診し、疾患の早期発見と予防に努めることが重要です。性別ごとに、推奨される検査をご説明します。
● 50代男性
50代男性は、心疾患や脳血管疾患のリスクが大幅に上昇します。また、がんの発症率も高まるため、次のような項目を含んだ人間ドックの受診が推奨されます。
- 生活習慣病の検査(高血圧、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化、心疾患、
脳血管疾患 など) - がん検査(胃がん、大腸がん、肺がん、前立腺がん、肝臓がん、膵臓がん など)
● 50代女性
50代女性は、乳がん、大腸がん、子宮体がん、卵巣がんのリスクが上昇します。また、閉経後はエストロゲンの減少により、心疾患や脳血管疾患、骨粗鬆症のリスクが高まります。このようなリスクに対処するため、次のような項目を含んだ人間ドックの受診が推奨されます。
- 生活習慣病の検査(高血圧、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化、心疾患、
脳血管疾患 など) - 婦人科がん検査(乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん)
- がん検査(胃がん、大腸がん、肺がん、膵臓がん など)
- 骨密度検査
これらの検査の多くは健康診断でもおこなわれていますが、人間ドックのほうがより高精度かつ詳細な検査を受けることができます。人間ドックでは、たとえばがんのリスクをより広範囲に調べる方法として、PET-CT検査やDWIBS(全身MRI)が導入されているところもあります。
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PET-CT検査とは?費用や方法をわかりやすく紹介
まとめ
人間ドックの目的は、病気を早期に発見し、将来の発症リスクを把握することで、適切な予防策を講じることにあります。一般的な健康診断が「現在の健康状態をチェックするもの」だとすれば、人間ドックは「これからの健康を守るための詳しい検査」といえます。病気のリスクは、年齢や性別だけでなく、遺伝的な要因や日々の生活習慣によって大きく左右されるため、一人ひとり異なります。「まだ若いから大丈夫」と思っていても、知らないうちにリスクが高まっていることもあるため、年齢に関係なく、将来の健康に不安がある方や健康意識の高い方は、早めの受診がお勧めです。
人間ドックでは、がんや生活習慣病のリスク評価、臓器の詳しい検査などを通じて、自分の体の状態を深く知ることができます。自覚症状がなくても、定期的に受診することで、リスクを未然に防ぎ、健康を長く維持することが可能になります。
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