個人事業主の人間ドック(健康診断)の費用は経費になる?

SBIメディック編集部
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個人事業主が、事業を安定的に運営していくためには健康管理が不可欠です。そのため、定期的に人間ドックや健康診断を受けることは重要ですが、企業に雇用されている社員と異なり、個人事業主はその費用を全額自己負担することになります。その際に気になるのが、「人間ドックや健康診断の費用は経費として計上できるか?」という点です。今回は、個人事業主が人間ドックや健康診断を受ける際、その費用を経費計上できるかについて解説いたします。

個人事業主が人間ドック・健康診断を受診する方法

個人事業主が人間ドック・健康診断を受診する方法としては、主に以下の3つの選択肢があります。

国民健康保険組合の人間ドック・健康診断

個人事業主は、特定の業種・職種に関連した「国民健康保険組合(国保組合)」に加入することができ、国保組合が実施する人間ドックや健康診断を受けることができます。これにより、比較的低額で健診を受けることが可能です。ただし、提携医療機関や検査項目に制限がある場合があります。

自治体の人間ドック・健康診断

国民健康保険に加入している個人事業主は、自治体が実施する人間ドックや健康診断を受けることができます。自治体によって異なりますが、無料または低額で受診できます。特定の年齢によっては、がん検診などを受診できることもあります。しかし、指定された医療機関でしか受診できないなど、制約もあります。自治体の健康診断の情報はお住まいの地域の自治体のホームページや広報で詳細を確認することができます。

病院・健診センターの人間ドック・健康診断

病院や健診センターが実施している人間ドック・健康診断を受診する方法もあります。日程が合わないなどの理由で、国民健康保険組合の健康診断や自治体の健康診断を受けられない場合は、この方法を選択することになるでしょう。また、より精密な検査を受けたい場合も、対応している病院や健診センターを探して受診することになります。

自分で病院・健診センターを選べることや、検査項目、検査方法を自由に選択できることがメリットです。たとえば、不安のある箇所だけ高度な検査を受けるなど、年齢や健康状態に合わせて検査内容を決めることができます。一方で、上述した2つの人間ドック・健康診断に比べると費用負担が大きくなりがちです。また、人気のある病院・健診センターは予約が取りにくい場合もあります。

個人事業主の人間ドック・健康診断の費用は経費になる?

会社員の方々は、年に1回の定期健康診断を受診できます。その際、基本的には会社がその費用を全額支払ってくれるため、自己負担なく受診が可能です(ただし、オプション検査を追加する場合などは別途費用がかかることがあります)。一方、個人事業主は受診費用を全額自己負担することになります。

個人事業主が人間ドックや健康診断を受ける際、その費用は原則として経費として計上できません。なぜなら、健康診断は事業の運営に直接的な関連がない個人の健康管理に関わる費用と見なされるためです。ただし、従業員を雇用している場合、その従業員の健康診断費用は経費として計上することができます。

個人事業主の人間ドック・健康診断費用は医療費控除の対象?

個人事業主が負担した人間ドック・健康診断の費用を経費にすることはできませんが、医療費控除の対象にはなるのでしょうか。

医療費控除とは?

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が基準額を超えるとき、確定申告をすることによって、その超過支払い分の医療費を所得から控除できる制度です。医療費控除を受けることで、所得税や住民税の負担軽減につながります。

※参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

個人事業主の人間ドック・健康診断費用が医療費控除の対象になるケース

個人事業主が負担した人間ドック・健康診断の費用は、原則として医療費控除の対象にはなりません。人間ドック・健康診断は、あくまでも病気の早期発見や予防を目的としたものであり、病気の治療を目的とするものではありません。そのため、医療費控除の対象となる「医療費」には含まれません。

しかし、人間ドック・健康診断を受診した結果、重大な疾病が発見され、診断、治療をおこなった場合は、治療に先立っておこなわれる診察と同様に考えることができるため、人間ドック・健康診断費用は医療費控除の対象になります。

※参考:No.1122 医療費控除の対象となる医療費|国税庁

オプション費用は医療費控除の対象外?

繰り返しになりますが、人間ドック・健康診断は病気の早期発見・予防を目的とした行為であり、その費用は医療費控除の対象にはなりません。健康診断には、胃カメラや大腸カメラなどのオプションが用意されていることがありますが、こうしたオプションを追加した場合も同様に、その費用は医療費控除の対象外です。

個人事業主が確定申告で医療費控除を受ける際に必要な書類

個人事業主が医療費控除を受ける場合は、確定申告で手続きをおこないます。その際は「確定申告書」と「医療費控除の明細書」が必要です。

医療費控除の明細書には、医療を受けた人や病院、治療費代など項目や医療費の合計額を記載します。確定申告書には、「所得から差し引かれる金額」にある医療費控除の欄に、医療費控除の明細書で計算した金額を記載します。なお、健康保険組合などが発行する「医療費のお知らせ」などの医療費通知がある場合は、医療費控除の明細書の記入を簡略化(省略)することができます。

確定申告書と医療費控除の明細書を作成したら、確定申告期間である2月16日~3月15日の間に所轄の税務署に提出します。

※参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

病院の領収書は必要?

医療費控除を受ける際、以前までは医療機関の領収書を添付して確定申告をする必要がありましたが、現在は領収書の代わりに、「医療費控除の明細書」を添付することで医療費控除を受けることができます。

なお、確定申告後の領収書は、万が一税務署から問い合わせがあったときに必要になる可能性があるため、少なくとも過去5年間の領収書は保管しておく必要があります。

セルフメディケーション税制とは?

医療費控除の特例として、「セルフメディケーション税制」という制度があります。セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進および疾病の予防のために一定の取り組み(※)をしている方が、その年中に12,000円を超える対象医薬品を購入した場合に、購入費用の一部について所得控除を受けることができる制度のことです。

※一定の取り組みには、人間ドックや各種健康診断、インフルエンザの予防接種などが含まれます。

健康診断を受診することは、健康の保持増進のための取り組みと言えるため、健康診断を受けている個人事業主はセルフメディケーション税制の適用を受けることができます。その結果、所得税や住民税の負担軽減につながります。なお、セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択適用となるため、いずれか一方を選択して適用することになります。

▼ 関連リンク
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について|厚生労働省

人間ドック・健康診断の費用相場

人間ドック・健康診断の費用相場についてご説明します。

人間ドック

人間ドックの費用は、受診する病院・健診センターによって差があるほか、検査項目や検査内容などによっても変わってきます。主な人間ドックの費用相場は以下のとおりですが、検査が詳細かつ広範囲に及ぶほど高額になります。

  • 一般的な人間ドック:3~10万円
  • 検査内容が充実した人間ドック:15~30万円
  • 脳ドック:5~15万円
  • レディースドック:3~8万円
  • メンズドック:3~8万円

個人事業主が病院・健診センターを自ら選んで人間ドックを受診する場合、全額自己負担になります。一方で、自治体や国民健康保険組合が実施する人間ドックを受診する場合は、費用の補助・助成を受けられることがあります。

健康診断

自治体の健康診断や国民健康保険組合の健康診断は、比較的低額で、あるいは無料で受診することができます。これらに比べると、病院・健診センターの健康診断は費用負担が大きくなります。基本的な内容の健康診断の場合は1~2万円程度、生活習慣病に関する検査を含む健康診断の場合は2~3万円程度が目安になるでしょう。

人間ドックが、がんなどの病気の早期発見を主な目的としているのに対し、一般的な健康診断は高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防に主眼が置かれています。なお、平成20年4月から40歳以上75歳未満の方を対象に、生活習慣病の前段階であるメタボリックシンドロームを予防・改善することを目的とした「特定健診」がおこなわれています。特定健診は、国民健康保険や国民健康保険組合に加入している個人事業主であれば受診することができます。

まとめ

年齢を重ねるにつれ、生活習慣病やがんのリスクが高まります。一般的な健康診断では、これらの病気の早期発見に必要な精密検査が含まれないことが多いため、より詳しく調べられる人間ドックの受診をおすすめします。特に40代以上になると生活習慣病やがんの発症リスクが上昇するため、CTやMRI、血液検査などの詳細な検査が重要になります。人間ドックを活用することで、病気の早期発見・予防につながり、健康維持に役立ちます。

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