PET-CT検査とは?費用や方法をわかりやすく紹介!

高橋通
高橋 通
高橋通
高橋 通

東京国際クリニック 院長
医学博士・循環器内科

PET-CT検査とは、がん細胞が正常の細胞に比べて多くのブドウ糖を取り込む性質を利用して、がんを早期発見するための画像検査のことです。日本人の2人に1人ががんになる時代です。40代にも差しかかると、「がんの検査を受けたほうが良いのかな……」と考える人が多くなります。その際の選択肢の一つになるのがPET-CT検査です。今回は、費用も含めPET-CT検査がどのような検査なのか、わかりやすく解説いたします。

この記事の監修者

高橋 通
東京国際クリニック 院長/循環器内科
日本循環器学会循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本人間ドック学会認定医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医。1994年筑波大学医学専門学群卒業。2008年、東京大学大学院医学系研究科医学博士課程修了。1994年から長年にわたり、国立国際医療研究センターや東京大学医学部附属病院の救急医療現場での循環器専門医としての臨床経験を経て、2015年より東京国際クリニック院長。

PET-CT検査とは?

PET-CT検査の目的や方法、特徴などについてご説明します。

PET-CT検査の目的

PET-CT検診の目的はがんのスクリーニングです。全身を一度に検査して、がんが疑わしい部位がないかを調べます。

  • 治療前にがんの有無や広がりを確認する
  • 腫瘍が良性なのか悪性なのかを判断する
  • がんの大きさや場所を確認する
  • がんの転移がないか確認する
  • 抗がん剤の治療効果を判定する
  • がん治療後の再発がないかを確認する

全身のがんを一度に調べられることや、予想外のがんの発見に優れていることなどがPET-CT検査の特徴です。こうした特徴から、がんの可能性が疑われながら他の検査で病巣が発見できない原発不明がんの診断や、がんの転移・再発を調べるのに効果的とされています。

PET-CT検査の方法

PET-CT検査は、FDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)を使っておこないます。静脈からFDGを注射し、細胞に取り込まれたブドウ糖の分布を画像化します。がん細胞は、通常の細胞より多くのブドウ糖を取り込む性質があるため、たくさんのブドウ糖が集まるところには、がんがある可能性が高いと考えられます。
※出典:国立がん研究センターがん情報サービス

PET-CT検査の特徴

PET-CT検査の特徴としてよくいわれるのが以下の点です。

全身のがんを一度に調べられる

PET-CT検査は、1回の検査で全身のがんを調べることができます。がんの転移や複数の病巣を発見しやすいのが特徴です。

がん治療における効果を判定できる

PET-CT検査は、抗がん剤治療の効果を判定できます。CT検査やMRI検査に比べ、早く治療効果を判定できるのがPET-CT検査の特徴です。そのため、不要な検査を避け、スムーズにその後の治療方針を決められます。

がんの転移や再発の有無を調べられる

PET-CT検査は、がんの転移や再発の有無を調べたいときに有用です。10mm以下の小さなリンパ節への転移があった場合、CT検査やMRI検査では見つけられないこともありますが、PET-CT検査であれば、ブドウ糖の代謝をみることで転移を見つけることができます。

身体への負担が少ない

PET-CT検査は、FDGの注射をするだけで済み、身体に大きな負担がかからないのも利点の一つです。ごくまれに、FDG注射の際に吐き気やかゆみなどの症状が出る方がいますが、ほとんどの方は問題なく注射をすることができます。

▼ 関連リンク
PET検査とは:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
FDG-PET/CTとは|国立国際医療研究センター病院

PET-CT検査の注意点

PET-CT検査を受けるにあたっては、以下の注意点を認識しておきましょう。

PET-CT検査で見つけにくいがんもある

PET-CT検査は一度で全身のがんを調べられる検査であり、特に頭頚部がんや肺がん、乳がん、大腸がん、悪性リンパ腫などの発見に有効とされています。

ですが、決して万能な検査ではなく、あらゆるがんを見つけられるわけではありません。たとえば、早期の胃がんはPET-CT検査では見つけられません。FDGが集積しないごく小さながんや粘膜の表面にできたがん、ブドウ糖代謝が活発ではないがんや排泄のためにFDGが集積する腎臓や膀胱、前立腺などのがんは見つけにくいとされています。

このように、がんの種類や状態によってPET-CT検査の有用性は変わってきます。そのため、がんが疑われる部位があったときは、その部位に合わせたより詳細な検査をおこなう必要があります。

PET-CT検査前日・当日は運動を控える

PET-CT検査の前日・当日は運動を控えなければいけません。運動をして筋肉を動かすと、ブドウ糖が筋肉に集まりやすくなります。PET-CT検査は、がん細胞がブドウ糖を多く吸収する性質を利用して画像化する検査のため、筋肉にたくさんのブドウ糖が集まると、がん細胞と筋肉の区別が付きにくくなります。そのような状態での検査結果は、偽陽性になるなど、PET-CT検査の精度が下がってしまいます。

血糖値が高いとPET-CT検査の精度が低くなる

血糖値が高値の場合、PET-CT検査の精度が低くなる可能性があります。PET-CT検査は、体内にFDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)を注入し、がん細胞がブドウ糖を多く吸収する性質を利用して画像化する検査です。血糖値が高い人は血中のブドウ糖が多いため、がん細胞だけでなく、筋肉やその他の組織にもFDGが均一に分布してしまい、がん細胞だけを画像として映すのが難しくなります。そのため、血糖値が高めの方はPET-CT検査の精度が低くなってしまいます。

PET-CT検査の流れ

PET-CT検査は一般的に、以下のような流れで進めていきます。詳しくは、実際にPET-CT検査を受ける医療機関でご確認ください。

① 絶食
PET-CT検査当日は、検査の6時間前から糖分を含む飲食物の摂取はできません。

② 注射
FDGを点滴と同じ要領で注射します。

③ 安静
1時間ほど安静にしてFDGが細胞に取り込まれるのを待ちます。

④ 撮影
機器の寝台の上にあおむけになり、撮影をおこないます。撮影時間は30分程度です。

⑤ 待機
体内の放射線量が減退するまで30分ほど待機します。

PET-CT検査の費用は?

PET-CT検査の費用は、保険が適用されるかどうかで変わってきます。がんが疑われる場合や、がんの診断後、治療効果を評価するためにPET-CT検査を受ける場合は健康保険が適用されます。一方で、自覚症状がない人が健康診断のためにPET-CT検査を受ける場合は保険が適用されず、全額自己負担となります。

保険が適用される場合、PET-CT検査の費用は約3万円です。全額自己負担の場合は医療機関によって差がありますが、約10万円〜15万円です。

PET-CT検査のよくあるご質問

PET-CT検査に関するよくあるご質問に回答します。

PET-CT検査は有効ですか?

PET-CT検査の大きな目的は、がんを早期発見・早期治療すること、ひいては、がんによる死亡率を下げることです。しかしながら、PET-CT検査は、がんを発見できる精度や死亡率に関して、まだ十分なデータがありません。現在国内でおこなわれているPET-CT検査は国が推奨するがん検診ではなく、任意の検診として人間ドックなどで実施されています。PET-CT検査のメリット・デメリットを十分に理解したうえで、受けるかどうかを決めるようにしましょう。

PET-CT検査は医療被ばくの心配はありませんか?

PET-CT検査による医療被ばくは、投与するFDGという薬剤の量によって変わりますが、過度に心配する必要はありません。人の健康への影響が確認されている1回あたりの放射線の量は100mSv(ミリシーベルト)以上ですが、1回のPET-CT検査で受ける放射線量は約3.5mSvです。また、CT検査を組み合わせておこなうので10mSv程度と言われています。

PET-CT検査の結果はいつわかりますか?

PET-CT検査の結果がわかるまでの日数は、医療機関の体制や結果の伝達方法によって異なります。結果が郵送される場合、検査から2~3週間後に届くことが一般的です。一方、人間ドックなどの自由診療とは異なり、保険適用でPET-CT検査を受けた場合は、担当医から直接結果の説明を受けます。その際、早ければ検査当日、遅くとも数日以内には結果を確認できるでしょう。

まとめ

2人に1人が、一生涯にがんを発症するといわれる時代です。がんを早期発見するために、毎年、人間ドックを受診されることをお勧めいたします。

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